ベートーベン・ウィルス

「ベートーベン・ウィルス」は、MBCにて2008年9月から11月まで放送された韓国ドラマです。日本でも「ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~」という題名で、テレビ東京にて放送され、人気を得ました。音楽に挫折したものたちと、世渡りの下手な指揮者が生み出す奇跡をコメディ・タッチで描いたドラマです。当初は全16回の予定でしたが、視聴率が20%前後を維持するほどの好評を得たため、2回延長された全18回となりました。特に強烈な個性を持つ主人公のカン・マエの人気は凄まじく、カン・マエが身に着けていたファッションがブームになるなどカン・マエシンドロームと呼ばれる現象を巻き起こしました。

あらすじ

ソクラン市庁職員のトゥ・ルミは適当に提案した「市を音楽の町にしよう」という企画が通ってしまい、オーケストラの運営を任されることになります。ルミは有名な音楽家を集めてプロジェクト・オーケストラを結成しますが、オーケストラの公演プロデューサーにお金を横領されてしまいます。さらに、ギャラがもらえないと知った団員たちも次々に去って行ってしまいます。仕方なくルミは、音楽の心得のある市民たちをボランティアとして募り、新たなプロジェクト・オーケストラを結成し、出来るだけお金をかけずに公演を行うことにしました。プロジェクト・オーケストラのメンバーには、音楽の道を断念していた警察官のカン・ゴヌ、主婦のチョン・ヒヨン、会社員のパク・ヒョックオン、ソウル市響を退職したキム・ガヒョンなどが集まり、なんとか演奏が出来るようになります。そこへルミが楽団の指揮を以来していたカン・マエが帰国します。カン・マエは高名な指揮者でしたが、音楽に厳しすぎて自分の意に沿わない楽団は次々と解散に追い込んでしまう「楽団キラー」のあだ名がついた超頑固な人物でした。案の定、カン・マエは素人同然のプロジェクト・オーケストラの団員たちを毎日のように罵倒し、まともに指導しようともしません。やがて、団員とカン・マエの対立は深いものとなり、カン・マエは指揮者の地位をいったんは降りてしまいます。しかし、カン・マエのライバル、チョン・ミョンファンが素人の子供たちによる楽団を成功させた実績を持ち、その実績を買われて自分の後任としてソクラン市に招請されると知ったカン・マエは、指揮者の地位に戻り、熱心に団員達を指導するようになりました。やがて、団員達とカン・マエの心は一つとなり、公演は無事成功します。喜んだ市長はカン・マエを指揮者とする正式な市響の創設を宣言します。当然プロジェクト・オーケストラの団員たちは自分達が市響に迎えられるものと期待します。一方、カン・マエはあくまでもプロの音楽家とプロジェクト・オーケストラの団員たちの実力の違いを見せつけ、団員達に音楽の道をあきらめさせようとしますが・・・。

登場人物

カン・マエ・・・キム・ミョンミン
40歳の指揮者。カン・マエと言うのはマエストロの略で通称であり、本名はカン・ゴヌです。音楽に関しては自分にも他人にも一切の妥協を許さず、そのためには楽団の解散も辞さない姿勢からオーケストラ・キラーと恐れられている辣腕音楽家です。その頑固さは大統領の前で公演を中止したこともあるほど。ルミに依頼されたソクラン市のプロジェクト・オーケストラの指揮を最後までやり抜き、その成功を受けて新設されたソクラン市響の指揮者に迎えられました。
トゥ・ルミ・・・イ・ジア
25歳のヴァイオリン奏者です。音楽大学を卒業し、かつてはプロの道を目指していましたが断念してソクラン市庁の職員となりました。自身が発案したプロジェクト・オーケストラにコンサート・マスターとして参加します。病気によって失われつつある聴力が残っている間に、好きな音楽を極めようとソクラン市響に押しかける日々を過ごしています。
カン・ゴヌ・・・チャン・グンソク
25歳のトランペット奏者です。カン・マエと同姓同名であり、指揮者もこなします。警察官なのですが、荒っぽいやり方で人助けをしたため停職処分を受けています。音楽大学への進学を断念した過去があり、停職処分中にプロジェクト・オーケストラに参加しました。その後、警察を退職し、ソクラン市響の楽団員に採用されます。絶対音感があり、一度聞いた旋律を完全に再現できます。やがて正式に音楽を勉強する必要性に気付き、カン・マエに師事するようになりました。
キム・ガヒョン・・・イ・スンジェ
65歳のオーボエ奏者。元プロでかつてはソウル市響でオーボエ首席を務めた実力の持ち主です。経験豊富で音楽の世界に関しては博識であり、ルミやゴヌの相談に乗ることも多いです。イドゥンのことを気に掛けており、彼女を音楽の道に引き戻そうと尽力します。時々認知症の症状が出てしまい、物忘れが酷くなったりすることも。
チョン・ヒヨン・・・ソン・オクスク
52歳のチェロ奏者。音楽大学出身の専業主婦で、家族に尽くすために音楽の道を諦めました。ゴヌの叔母でルミの大家でもあります。プロジェクト・オーケストラに参加し、カン・マエの罵倒に傷付いて脱退しますが、自分に無関心な家族に尽くすことに疑問を感じて復帰します。最初は引っ込み思案でしたが、次第に強さを身につけて自己主張できるようになりました。
パク・ヒョックォン・・・チョン・ソギョン
36歳のコントラバス奏者です。音楽大学出身の会社員でルミの先輩です。プロジェクト・オーケストラに参加しますが、仕事の関係で公演には参加しませんでした。その後、卑劣な後輩を重用する会社に愛想を付かして退職し、ソクラン市響の楽団員に採用されます。
ペ・ヨンギ・・・パク・チョルミン
37歳のトランペット奏者です。場末のキャバレーでサックスを演奏していましたが、経歴を詐称してプロジェクト・オーケストラに参加しました。元来嘘をつくのが苦手なのと演奏技術の拙さのせいで詐称は簡単に寒波されてしまいますが、音楽を愛する気持ちの強さは本物です。楽団内ではムードメーカーを務めました。
ハ・イドゥン・・・ヒョン・ジュニ
17歳のフルート奏者です。芸術高校に通っていましたが、後に経済的理由で中退します。ギャラ目当てでプロジェクト・オーケストラに参加しますが、他の団員達に金を無心して回っているところガヒョンに告発され、楽団を追われます。その後、家計を助けるために怪しげなアルバイトに手を出していましたが、事情を知ったガヒョンの説得で再び音楽の道を目指すようになります。

感想

オーケストラとコメディのセットといえばどうしても「のだめカンタービレ」を思い出してしまいます。このベートベン・ウィルスとのだめには色々な共通点があります。まずは、楽団のメンバーが落ちこぼればかりなところ。それから指揮者が偏屈で音楽に厳しい頑固者なところです。これだけ似ていると、のだめがかなり面白かっただけにはたして楽しめるかなーと不安だったのですが、見てみるとそんな不安はどこへやら。毎回ドラマの展開にハラハラドキドキさせられて、そして登場人物たちの一生懸命な姿に涙させられ、最後までいっきに見てしまいました。カン・マエ役のキム・ミョンミンは最初は全く興味がなかったのですが、ドラマを見進めるとどんどんかっこよく見えてきて、今では大ファンです。天才トランペット奏者のカン・ゴヌ役のチャン・グンソクも良かったですね。彼は素朴で真っ直ぐな青年の役がとても似合います。それからルミ役のイ・ジアもとても綺麗でした。映画やドラマの演奏シーンをみると、いつもヴァイオリンの弾き方に違和感を覚えるのですが、彼女はキチンと練習したのか全く違和感なく見ることができました。韓国でカン・マエシンドロームという社会現象まで巻き起こすほど人気だったというのも頷けます。カン・マエかっこいいです。ぜひご覧ください。